都筑道夫『七十五羽の烏』(桃源社 昭和四十七年三月二十五日発行 初版 定価四五〇円)三十年振りに再読。
三十年前に小さな古本屋で見つけたんだけれど、値札を剥がした痕がある。幾らで買ったんだろう?
カヴァーは、赤というか朱色のようなカヴァーとしては厚めの紙に、黒い烏が、数えてないけれど多分七十五羽。中央に四角く黒で囲みがあって中はベージュ、そこに黒のゴシック体の活字で「都筑道夫」。著者名の左に大き目の囲みがあってベージュ地にこちらは黒の描き文字で「七十五羽の烏」脇に小さい囲みで「滝夜叉殺人事件」。
カヴァーを外すと、初めて見たような気がするが、打って変わって真っ黒の表紙。ここに銀色の烏が一羽、ほらタバコのピースの鳩が月桂樹の枝を咥えているような感じで、「都筑道夫 七十五羽の烏」という文字列を咥えている。
「でざいん いらすとれいしょん 山藤章二」「れいあうと れたりんぐ 都筑道夫」とある。
各章の扉に「1」「2」「3」・・・と描き文字があるんだけれどタッチは山藤だと思ってたけれど、これ都筑の作なんだろうか?
「Taro Mononobe psychic detictive」の事務所の曇ガラスに裏返しに見えている凝った文字も、ひょっとして・・。
しょっぱなに、本筋とは関係ないので飛ばしても推理に支障はないとの断り書きがあって「カードの家の組立て方」が説明してある。
物部太郎が事務所のデスクで五層の城郭を組み立てようと三層目まで組み終わったときに来客。「伯父が幽霊に殺されるかも知れない。我家に代代たたっている怨霊に!」という依頼内容を告げた途端に作りかけの城郭が、かさかさぱたぱたと崩壊した・・・。
ここから話が始まっていくのですが、そこに黄ばんだ写真が一枚、栞のようにはさんでありました。ははは、若かりし頃の私が作った「五層の城郭」の竣工写真でした。
二百四枚のカードが必要だったんですが、四組のトランプは持ってなかったし滑ってうまく組めなかったんで、「百人一首」の札で組んだことを思い出しました、暇だったんだなあ。